1.目的
特定健診・保健指導の実施において、医療保険者の多くがその実施の全部または一部を外部専門事業者に実施を委託することになります。その際、これらの事業者はサービスを安定的に提供できるとともに、その質についても十分に確保されている必要があります。そのため、標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)においては、委託基準が示されるとともに、各事業者に一定の情報公開を求めています。
しかし、精度管理手法が確立しており、また客観的な評価が可能な健診に比べて、専門事業者が提供する保健指導の質を評価することは容易ではありません。質が評価できない状態においては、委託先の選定において価格や規模、評判などの情報に頼らざるをえず、いわゆる「安かろう、悪かろう」の事業者を選定する恐れがありますし、質の向上を積極的に行う優良な事業者を育成することも不可能になります。今回のプログラムが、被保険者および被扶養者の生活習慣の改善、疾病の予防、医療費の削減といった成果を上げるためには、質の高い保健指導は不可欠の要素です。そのような重大な課題の解決に資するために、本ガイドを作成しました。
医療保険者は、専門事業者に対して保健指導サービスを委託する際に、本ガイドを用いて、情報の収集を行い、得られた情報を評価し、委託先が一定の質を保っているかどうか、判断することが可能になります。ただし、ここでいう保健指導の質とは、客観的な評価が困難な個々の保健指導実践者の質ではありません。委託基準で示された保健指導サービス事業者としての最低基準を満たしているだけでなく、事業者が、サービスの質の維持・向上のために継続的に行う取組みに着目する必要があります。保健指導の質は、保健指導実践者の個人的な努力だけで達成することは不可能であり、事業者の組織的な取組みによってはじめて可能となるためです。
本ガイドは、第T部、第U部の2部構成となっています。第T部は委託基準のすべての項目を含んでおり、委託基準を遵守していることの確認用です。第U部は保健指導の質の管理状況の確認用となっています。したがって、各委託元が、委託先にどのレベルの質を求めるかによって、使い分けることが可能です。たとえば、とりあえず委託基準を満たしていることを求める場合には第T部のみを、委託先が委託基準をすべて満たしていることが明らかであり、さらに高いレベルの質の管理を求める場合には第U部のみを利用してもよいでしょう。また、第T部は、回答の選択肢を示した選択回答形式(T-1)と、実態を具体的に記述することを求める自由回答形式(T-2)の2種類が用意されています。
2.項目
保健指導の質の評価ガイド 第T部および第U部はそれぞれ、2つの章と1つの付録から構成されています。このうち、第T部は、第T章と第U章および付録1が掲載されています。
第T章には、委託基準の遵守状況について、委託を検討している保健指導サービス事業者に対して行う質問項目を列挙しております。これらの質問項目は、具体的な内容を聞き出す質問になっています。
第U章は、事業者からの回答を評価するためのガイドになっています。「委託基準の遵守に関する質問」への回答を評価するためには、まず評価者が個々の質問の【ねらい】と【基本的考え方】を理解しておく必要があります。その上で、委託基準を満たしているかどうかを【委託基準の遵守】をもとに判断します。
付録1として、委託基準(具体的な基準)を掲載しています。
3.使用方法第U部 質の管理状況の評価
第V章 質の管理状況に関する質問項目
@ 保健指導サービスの質の管理に関する基本方針
A 保健指導サービスマニュアルおよび提供される保健指導プログラムの質の管理
B 保健指導実践者の質の管理
C 情報公開
D 再委託先による保健指導サービスの質の管理
E 内部監査
第W章 質の管理状況の評価ガイド
@ 保健指導サービスの質の管理に関する基本方針
B 保健指導実践者の質の管理
C 情報公開
D 再委託先による保健指導サービスの質の管
E 内部監査
付録2 「保健指導の質の管理」の基本的考え方
本ガイドの概要は、
下記参照
第T部−1
委託基準の遵守状況の確認
<選択回答式>
第T部−2
委託基準の遵守状況の確認
<自由回答式>
第U部
質の管理状況の評価
本ガイドの冊子版の残部を無料で配布しております。
ご希望の方は、あて先を記した返信用封筒
(290円分の切手)を同封の上、以下までご請求ください。
残部がなくなりました。配布を終了しました。
本ガイドは、平成19年度厚生労働科学研究費 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業(H19-循環器当(生習)-一般-010)によって作成されました。